【 継承工房 工程−下地 】


−下地について−

完成してしまうと、まったく見ることの出来ない
「下地」の工程。

しかしながら、漆器の堅牢性は、この下地の出来次第、
コストのかけ方次第と言っても過言ではない大切な作業です。

手間とコストをかけてしっかりと下地を固めた漆器は、
驚くほどの耐久性を示し、また、上塗が痛んでしまっても、
土台である「木」まで傷が付きませんので、修理が可能となります。

漆器の品質を左右する「下地」
見えない部分への配慮も、継承工房の仕事です。


■ 下地・制作工程 ■

ヘラを整える
お椀にしろ、何にしろ、器の形は多種多様。
多彩な器は和食器の特徴ですが、
作り手泣かせの一つでございます。
写真は木ベラを器の曲線に合わせ、
微調整をしている様子。
ムラの無い仕上げには欠かせない作業となります。
布着せ(布貼り)
写真では分かり難いと思いますが、「のり漆」と呼んでいる接着用の漆で布を貼っている作業です。
これは痛みやすい部分を補強する為のものです。
この他、縁や、高台(足部分)に布を貼ることもございます。
地の粉(じのこ)
珪藻土(けいそうど)と呼んでいる、北陸で採取できる貝類の化石がございます。
これを蒸し焼きにし、粉末にしたものが写真左の「地の粉」となります。これを漆と混ぜたものが右の「下地漆」。
「地の粉」を使用した「下地漆」の耐久性が一番高いと言われており、一般に輪島塗や越前塗などで多用される技法となります。
下地塗
調合した「下地漆」を塗ります。
木ベラで塗りますと、多少の凹凸が出来ますので、乾いた後にきれいに研ぎます。
こちらで紹介のお椀は、下地を2回、研ぎを2回繰り返しその強度を高めます。用途や予算により、1回であったり3回以上繰り返したりをいたします。
下地完成
まだ研いでいませんので、
多少の凹凸がございますが、一応の完成形となります。
漆を「防腐・防水」の塗料と考えれば、
この段階で使うことも可能ですが、
これから「中塗・上塗・加飾」と工程を重ねることにより、
美を追求した食器へと生まれ変わります。

−下地師 三崎 茂−
今回ご協力して下さった下地師 三崎さんは、
本堅地(つまり今回の地の粉を使った下地)にこだわる職人の一人。
最近のウレタン下地なども耐久力は高く、
コストダウンにもつながりますので一概に悪いわけではなく、
また、これを否定していては技術の進歩もありません。
しかしながら、昔ながらの技法を大切にすることも
非常に大切な一面を持っていると確信しております。
彼の携わった漆器は如何でしょうか?



−この工程を経た品はこちら−










汁椀 日月
汁椀 溜
座興盃 橙
祝椀揃




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